ひとりごと

溜め息ばかり口にするなら 同じ唇で旋律奏でよう

不可逆少年を読んだ

タイトル儘です。不可逆少年という作品を読みました。ネタバレ前提です。

いつもブックメーターに感想は投稿しているけど長くなりそうなのでブログにします。

 

作家買いをする私が珍しく、はじめましての作家さん。法廷遊戯も気になったけれど、あらすじに惹かれて先に2冊目。

文章が合わないとベストセラー作家さんであろうと話に没頭できないですが、話が分かりやすい。読みやすい。

一人称がころころ変わりますが、傘マークは茉莉、太陽マークは真昼パートとみるとわかりやすく。茉莉パートは少し幼いかとも思えたけれど、割と読みやすかった。

名前も少し変わっている子が多く、しおちゃんってかわいいなとずっと思っていました。

砂と漠の砂漠兄弟に雨だまりはオアシスだったのかな。雨に昼、そして早霧。霧もまるで意味があるような。言及されていなかったからわからないけれど。

 

フォックス事件とカミキリムシ。二本の柱で行くのかどちらかに重きを置くのか、少し不明瞭だと思っていたけど結局は絡み合って一つにまとまったような。

一人称はうまいこと心情を織り込むから、地の文に答えがなかったり主観が入ったりする。茉莉パートがまさにそうだった。

カミキリムシの話は、割と描写がなくても茉莉もバラバラな髪形にされたのだろうとか砂が被害に遭った美容師志望とか、その辺で察しがついていたけど、妙に少ない神永姉妹の描写。茉莉も知らないことなら読者にも伝わらない。茉莉はすべて奏乃に話していたし。奏乃が茉莉の知らないところで何をしているかなんて茉莉の視点からではわからない。

対してフォックス事件を軸にするなら、詩緒についてが少なすぎる。神永姉妹の、感情がわからない姉、痛みがわからない妹、という風に見て取れる描写からは、個人的には奏乃の方が危なそうに覚えた。

 

ので、すべてが綺麗に畳んだのかなぁとは思います。

真昼パートの一番最初に、綺麗に更生に導ける話を持ってきたのは不可逆少年への対比だったのかもしれない。

早霧さんはMIUの桔梗さんみたいだなって思ったし、真昼さんは内藤先生のONシリーズの野比先生みたいな感じで再生されていました。死体発見しちゃったし…

もっと早霧さんがかかわる話を読んでみたい。正直人道的ではないし、あまり幼い子にすることではないけど、神経犯罪学というものに少し興味が出た。

前作も読んでみたいと思ったので、映画より前に読みたい。

 

それにしても、子供にとってのコミュニティってよほどじゃない限り家庭と学校なのに、茉莉や砂漠はどうにかできなかったんだろうか。後神永家は姉妹しか描写がなかったなぁと。